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劇場で見る楽しみに立ち返らせてくれる映画『ジョン・ウィックchapter3~パラベラム~』

 

『ジョンウィックchapter3~パラベラム~』

 

ようやく劇場鑑賞。

3の公開にあたって1作目と2作目を急いでネット配信で復習してからひと月も経ってしまった。

 

結果から言って劇場で見て大成功な作品であった。

 

私自身、最近は映画館で鑑賞することが億劫になっていた。

上映中に無駄話をする周囲の方、スマートフォンを操作し光を漏らす方、スタッフロールで目の前を平気で横断する方。

そうした致し方ない要素に目を瞑るストレスを持ってしまうくらいなら家でサブスクリプションサービスで映画を見るだけで良いと、劇場に足が遠のいていた。

だが本作品はそうした感情を全て弾丸の嵐とともに吹き飛ばしてくれた。

 

 

相変わらずの華麗なアクションの数々や凝った設定の世界観などは前作、前々作よりも更にパワーアップして帰ってきており、重たい話も前作より地続きであるため大きな矛盾を内包することもなく安心してみることができた。

銃撃戦の華麗さやストーリーについては多くの人が語られているためあえて割愛するが、『劇場で見る楽しみ』に立ち返らせてくれた要素としてラスト30分ほどにすべてが詰まっている。

 

ラスト30分は主人公であるジョンウィックがホテルで侵入してくる殺し屋部隊と防衛戦を繰り広げる。

ホテルは営業を止め、宿泊客はすべて締め出されてしまう。

劇中、せわしなく人が行きかっていたホテルが明かりも落とされ静寂に包まれる。

 

皮切りになるのはジョンの発砲、そこからは延々と銃声が響き渡り続ける。

弾丸はホテル内のいたるところに当たり音を鳴らす。「キンッ」と壁に反響する金属音かと思えば木製の仕切りに当たり「コンッコン」と耳を打ち付ける

劇場特有の立体的なサウンドが左右から休みなく鳴り響く。

 

小休止が挟まったかと思えば侵入者の防弾装備が高性能であるためジョンも武器を持ち換えて応戦する。

武器が変わることで音も体を打ち付ける重低音に変わる。

 

侵入部隊を退けたジョンと相対するは日本かぶれの殺し屋とその弟子達。

 

弟子二人組はジョンを翻弄、ジョンを代わる代わるガラスに打ち付ける。ガラスが飛び散る音が木霊する。

かと思えばナイフを振り回して襲い掛かってくる。空を切るナイフの音も耳に心地よく残る。

ジョンは二人をベルトを武器として用いて撃退。ベルトが空を切る音もさながら鞭のように鳴る。

 

辛くも二人を退けたジョンの前に最大の敵が立ちふさがる

 

前を殺すのはの俺だぁ!!」

 

(最後のシリアスなシーンでこの日本語発音は正直ずるい)

 

日本刀を用いて相対する二人

(個人的に日本刀に一番映える格好はスーツだと思っている。『GANTZ』のホスト侍こと氷川や『ローグ・アサシン』のマフィアが物語っていることは歴史公証的にも明らか)

 

 

 

 

 

日本刀が空を切る音はもちろんだが、ガラスを切る音は不快な音ではなく快感すら覚える。

そしてジョンが相手の胸に日本刀を突き刺し、深く、深く入れ込み決着する。

 

音の波で30分あまり殴られ続ける、そしてその全てがただただ大きな音を出すだけではなく快感に寄せたつくりになっている。

家でこうした音響設備を作ることは並大抵の熱量では難しい。2000円という金を投資しても映画館で、劇場で映画を鑑賞することの価値に立ち返らせてくれる作品であった。

そして激しいアクションや音による圧力、かと思えば唐突に静寂をもたらすBGMの緩急は見る者に緊張を走らせる。

隣で見ている人の唾を飲む音すら聞こえそうなほど。

 

客を引き込む作品が周囲に気を散らす暇さえ与えてくれない。

上質な映画がもたらすのは観客の一体感であるかと錯覚するくらいには全員が注視していたのではないかと思う。

 

公開から既に日が経っているがまだ見ていない人は是非劇場で見てほしい。